私が高校生の時にあった話です。
友達と遊んだ帰り道、時間は午前2時をまわり凍えるような寒い夜でした。

私の家はマンションで、その前には大手デパートのビルがそびえ建っていました。
ビルの周りは、街路灯や電灯が何本もついていて夜でも凄く明るいほどでした。
そのビルの敷地の一角に、電話ボックスが2つ並んで設置してありました。
そのうちの1つは、国際電話をかけられるもので、繁華街にあることから毎晩のように近所に勤めている2〜3人の外国人女性が電話をかけにやってきていました。
遊んで帰ってきたその日も、遠くから手前側の電話ボックスの中に赤い服を着た女性がいるのが見えていました。
「?」
しかし、何かいつもと様子が違います。
それは、だんだん電話ボックスのそばに近づくにつれ、大きく感じてきました。
電話ボックスと、中の女性との構図がずれているような歪んでいるような変な感じでした。
けれども凍えるような寒い真夜中、今日はそんなことを気にせず真っ直ぐ部屋へ帰ろうと、心に決めました。私は、足早で電話ボックスの脇を通り過ぎようとしました。
「でも…」
一旦、心には決めたものの、やはり電話ボックスの様が気になります。
電話ボックスの真横を通り過ぎる時、私は電話ボックスに視線を送りました。
2つ並んだ電話ボックスの中に誰もいませんでした…
「あぁ、もう帰ったんだな」
と思った瞬間、

「!」

2つ並んでいる電話ボックスの間、約15cmぐらいの隙間に物凄い形相で私を睨み付ける女性が…私は、マンションに飛び込むと一目散に階段を駆け登りました。
必死に登りながらも、いま自分の見た物が信じられませんでした。
部屋のある階まで階段を登った私は、目の錯覚だと思いながらもう一度電話ボックスを覗いてみました。

「!!!」

しかし、そこにはまださっきの女が電話ボックスの隙間から「じっ」と私を睨んでいました…。
       ※       ※       ※
その夜は恐ろしさのあまり、風呂にも入らず布団に潜りました。
いったいあれは何だったのでしょう。よくタンスとタンスの間からぺらぺらの人が出てくる話は耳にしますが…



投稿者:COZYさん