私が小学1年生から3年生まで連続3年続いた恐怖体験です。
それは、毎年5月3日に起こる雨の日の出来事。

私は家で兄弟、友達と遊んでいました。
その時は、テープレコーダーを使ってみんなで声を吹き込んでました。
初めは声を吹き込んでは聞いて…、と、ただそれを繰り返していましたが、いつしか、その吹き込む内容は、身内の名前を使った悪質なニュースを読み上げるものになっていました。
「本日未明、バラバラ殺人事件と思われる遺体が発見されました、被害者は田中浩二(兄の名前)さんで・・・・」
というように、その時に一緒にいる人を、被害者に見立てた殺人事件のニュースでした。
しかしそれにも段々飽きてきて、最期は今まで吹き込んだものを聞いていました。
「……!」
突然テープの声が途切れました。
ザーーーーーーッ
というような空テープをながしている音が続いた後、スローにしたような男の声がなにかをブツブツと呟いているのが聞こえてきました。
そのうち、その呟き声はどんどん大きくなっていきました。
そのうち、テープの声ががはっきりと聞き取れるようになって来ました。
「………………………」
「りょうこの名前言ってる…」
友人が口を開きました。
「……タ・ナ・カ・リ・ョ・ウ・コ……タ・ナ・カ・リ・ョ・ウ・コ……」
恐ろしくも苦しそうな低い声が私にも聞こえました…。
声は私の名前を2回繰り返して呼びました、とその時
「…のニュースです……。」
唐突に男の声が消え、テープからは先ほどまで吹き込んでいた声が聞こえてきました。
私は何度も巻き戻して聞いては、ただ恐ろしさのあまり泣きじゃくっていました。
結局声の最初の方は聞き取れませんでした。
その後テープを、父にも聞いてもらいましたが、父は引きつった顔をしながら
「テープが伸びて何かの声が、そう聞こえるだけだ!」
とテープ引っぱり出して捨ててしまったのです…。
その後私はテープから流れてくる声に恐怖心を持つようになり、音楽さえも聞けなくなってしまいました。
       ※       ※       ※
翌年の5月3日、その日も雨の降る日でした。
その日があまりにも去年と状況が似ていたため、私は去年も一緒にいた友人と外へ遊びに行きました。
さすがに怖くて、家にいることが出来なかったのです。
雨が降っていたので、私たちは家の近くの橋の下で遊んでいました。
橋のたもとで友人と座って話しをしていると、

「………」

どこからか2〜3人の男の子の話し声が聞こえてきました。
「なんだろう?」
周りには友達以外に誰もいません。
私が川の向こう岸を見ると、向こう岸に2〜3人の座っている影が見えました。
「なんだぁ、あの子達の声かー。」
私は安心して話し続けていました。
相変わらず男の子達の、話し声は続いています。
「…?…」
おかしいのです。
その声が、耳元で話しているかのように聞こえるのです。
よく考えると、対岸までは100m以上離れていて、頭の上の橋には車が走っています。
その為、友達との話でさえ、車の音で聞き取れないことがあるのです…。
私と友達は、おかしいと感じ、直ぐに何も言わずその場を離れました。
その後は、2人で恐怖心に駆られながら家路へと急ぎました…。
あれはいったいなんだったのか今でも分かりません。
今思うと、あの時本当に向こう岸に人がいたのかどうかも…。
       ※       ※       ※
3年目の5月3日も同じく雨でした。
毎年この日には、おかしなことが続いていたので、私は朝から何も起こらないよう願っていました。
でも、私の願いもよそに、それは起こってしまいました。
その後の私を苦しめる出来事が…。

その夜。
時間は既に7時になっていました。
幸いこの日は、何も起こらずにすんでいました。
「あぁ、今年は何も無いないんだなぁ…」
私は安心して、居間で宿題をしていました。
居間には父と母がいました。
母は私の横でラジオを聞きながら横になっていました。
そのうち父が部屋から出ていきました。
私がふと母を見ると、母はラジオをつけながら眠っていました。
その時、私はラジオの音に言いようのない恐怖を感じました。

ザーーーーーーーーーーーッ

あの2年前と同じように、突然音が途切れました。
「…なんかくる!…なんかくる!!…
私の中で何かを感じていました。
ザーと聞こえる音の中に女の声がしました。
ものすごく早口で、何かを繰り返してしゃべっています。
「あぁ〜っ、助けてっ!!」
恐怖の中、聞くまいと思いながらも、私の耳はその声を聞き取っていました…。

「…タナカリョウコサンハ …年…月12日スイ曜日 死ニマス……
 ……タナカリョウコサンハ …年…月12日スイ曜日 死ニマス……」

「……!……」

何年、何月は聞き取れませんでした…。
その日以来私は、12日の水曜日に家の外に出る事はありませんでした…。
       ※       ※       ※
あの日から10年が経ちました…。
今でも、12日の水曜日が来る日をカレンダーでチェックしています。

今年('2000)は7月でしたが、何も起こらずにすみました。
でも私は、毎年、自分がどんな死に方をするのか考えては恐怖しています…。
事故なのか?殺されてしまうのか?自殺してしまうのか?
または、何かにあの世まで連れていかれてしまうのか?…
と。

……なぜなら、私は今のところ健康体なのですから…。



投稿者:りょうこ(仮名)さん