それは今から7、8年前のまだ暑さが残る季節の不思議な出来事です。
私が20歳前後の頃だったと思います。
それは私の友達M氏の元彼女Y子が、「M氏ともう一度遊びたので一緒に遊んでくれない?」という電話から始まりました。
そして、私と私の彼女T子と、M氏とY子の4人で遊びに行く事になりました。
ショッピングやゲーセンで遊び、夕食を済ませた後、つぎにする事もなくなり車で移動中、まだ季節的に暑さが残っていたこともあり、誰からともなく「心霊スポットに行こうか!」という話なりました。
「それなら東京湾観音に行こうか」
M氏が言い出しました。
しかし、私はそこまでの道が良く分から無い為、運転をM氏に譲る事にしました。
M氏は何度となくその場所に行っているので、「道は完璧!」と自慢してました。
「渋滞もなし、そんなに時間はかからないな」と、M氏。
車はだんだん市街地から、人気のない道へ進み、
左右には木々が生い茂る道へと進んで行きました…。
「もうそろそろ着くよ」とM氏。
そして車はこの不思議なトンネルへと入って行きました。
車の中ではちょうど、その前から、
「トンネルは心霊現象が多いよね…」
などと、心霊話が盛り上がっていました。
トンネルを何事もなく出ると左手の車道脇に何か灯りが見えます。
それは屋台のラーメン屋でした。
人気も無く、辺りに民家も街灯すら無い、車もほとんど通らない道にです。
私は「少し変だな」と思いながらも「、ラーメン食べたいね!」と冗談を言いました。

そして車がさらに3Kmぐらい進むと、またトンネルがありました。
「あれ?さっきと同じ感じのトンネルだな…」
私はそう感じましたが、田舎のトンネルなんてみんな似ていると思い、口には出さずにいました。
トンネルを抜けると、また左手に屋台のラーメン屋がありました。
「辺りにコンビにもないし、屋台のラーメン屋は儲かるのかね?」M氏
そして車はまた進みました…。

「まだ着かないの?」私。
「もうちょいだよ。」M氏。
またトンネルがあります。それも、また似ている…。
「こんなに、トンネル頻繁にはないのに…」
と、M氏が助手席の私にしか聞こえないこえでポツリと呟きました。
トンネルを通過するとまた左手に屋台のラーメン屋がありました。。
「ほんとだここにもラーメン屋あるよ!」と楽しそうにY子。
「ホントだね…」
私とM氏は、余裕のない声で相槌を打ちつつも、車のスピードを落として、共に屋台の形状などを観察していました。

ほどなく、次のトンネルが見えると、私とM氏はアイコンタクトで、互いに考えていることを確認しました。
トンネルを通り抜ける前に車のスピードを落としました。
トンネルを出ると、やはり左手に屋台のラーメン屋が見えました。
私とM氏は確信しました。
「俺達同じ所グルグル走らされてる…」M氏。
「やばいな、もう次ぎで何回目になる?」私。
「5回目ぐらいかな?」M氏。
「ねぇ、さっきから同じ道通ってない?」
T子も既に気づいていました。
「うん…。」
いつしか車の中は、静まりかえっていました。
「次ぎのトンネルが見える前にUターンして帰ろう!」

そこで車は、Uターンして帰路につきました。
何故か帰り道には、1件の屋台も無く、あれだけ通ったトンネルも2箇所位しか無かったのです。
ずーっと、1本道を通って来たはずなのに…。
しかも、その出来事の間、私たちの周りはおろか、すれ違った車すら1台も無かったのです……
       ※       ※       ※
昔話で、狐や狸にばかされた人が、行けども行けども同じ道を通る話がありますが、今回の体験でそんな話を思い出しました。
しかし、あの出来事はなんだったのでしょう……。

<余談>
私、M氏、T子、Y子4人とも多少なりに霊感と呼ばれるシックスセンスを持っていました。
何か関係があったのでしょうか?



投稿者:COZYさん