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普通通りに帰路についた、学校の帰りでした。 僕の学校は一応私立の学校なので、部活をやってから帰ると家につくのは8時をまわるのも珍しくありません。 この時の時間は午後8時半ごろだったと思います。 それは一瞬の出来事でした。ほんの一瞬に、いやな悪寒が全身に走りました。 向こうの方から車が走ってきました。 中央を歩いていた僕は当然のごとくわきに避けました。 車の中を覗いてみるとカップルでした。この時に彼女のいなかった僕は、 「彼女とか欲しいな〜」などと気楽なことを考えていただけでしたが、、、、、。 もう1回すれ違い様に車内を覗いてみると誰もいませんでした。 とっさの出来事だったので瞬時には変だとは思いませんでした。 しかし、数秒後に「あれ?」と思いました。 びっくりして振り返るとやっぱり誰も乗っていません。 「見間違いだ!」と自分に言い聞かせました。 それからまた同じ道を歩き出しました。 もうすぐで家に着く、と思った時にまた、同じ車が来ました。 同じ品川ナンバーの黒い乗用車でした。 僕の家の近辺は絶対に迷わないような単純な道です。 しかも帰ってくるのが早すぎる! 絶対に変だ!恐い! 鳥肌と寒気が全身を包みました。 中を見るとちらっと女の人が見えました。 僕は見ないようにして家まで走り出しました。 その瞬間、その車は電柱にぶつかりました。 急いで携帯電話で救急車を呼びました。 2日後、その人が入院している病院に行きました、恐怖心を押さえて…。 その部屋で、この人はこんなことを言っていました。 「君は助手席に変な物を見なかったかい?たとえば幽霊とか。 別に君を怖がらせるつもりはないよ。ただ……」 そこで彼は黙り込んでしまいました。 沈黙が1分弱続いた後、彼は続きを話し始めました。 「なにか手の様な物で手を引っ張られた様な気がしたんだ。 その力があまりにも強かったので僕はハンドル操作を。」 そこまで言ってまた黙ってしまいました。 僕は正直に言っていいのか悪いのかわからず、黙り込んでしまいました。 僕の態度でわかったのか、彼はこう話し始めました。 「やっぱり見たんだね、麗子を。」 「麗子というのは僕の前の彼女の名前でね、 僕の運転していた車で事故死してしまったんだよ。」 驚くのはこれだけではありませんでした。 「その日から変なことが続くから霊能力者に見てもらったんだけどね、 麗子は……僕を…恨んでいるらしいんだ。 彼は、驚いている僕を前にして話を続けました。 「僕の家は『K』と言う大きな印刷業を営んでいる。当然跡取りは僕なんだけど、彼女は、その財産が目当てだったらしいて、霊能力者は言っていたよ…。」 僕は何も言えずただ時間だけが過ぎて行きました。 帰り際に彼はこう言いました。 「僕は本気で麗子が好きだったんだけどな〜」って。 事故に遭わされてまでも「好きだなんて」僕自身、良く言えるよな…。 しかし、彼が死んだのはその3ヶ月後でした。 事故死でした。 驚くことに、死んだ場所は、麗子さんが死んだ、 東名高速道路の海老名のサービスエリアを出た直後でした。 投稿者:根岸佳弘さん |
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