これは僕が小学生の時の話です。
物心ついた時からか、昔はよく変な物が見えました。
だから見えるのが普通だと考えていましたが、小学校では見えない人しかいませんでした。
ただ1人を除いては。

石井 勇気
これが今回の話の主人公(?)です。
その空家には霊感の薄くなった今でも近付いたことはありません。
その勇気が空家に遊びに行った時の話です。
うちの近所だったのですが、当時僕は空家ということを知らなかったので近寄りませんでした。
知っていたらそのころにとっては好都合の遊び場となっていたでしょう。
しかし、知らなくてよかったと、今は思っています。

その日に勇気も初めてその空家に入ったらしいんですが、妙な気配を感じたらしいんです。
やっぱり、その、幽霊の…。
彼は僕以上に見なれていたらしく、面白い話しなのですが幽霊の友達もいたらしいです。
その日は勇気とその友達3人、計4人で遊びに行きました。(僕はいません)
最初はいやな気配だけだったらしいんですが、ゲーム(当時流行ったポケモン対戦)に熱中しだしてから気にもならず遊び続けました。その時にあの声に気付いていれば、、、。

トイレに行きたくなって勇気は1人でトイレに向かいました。
5分経っても10分たっても戻ってこないことに腹が立ち、トイレに3人で「うんこか?」等と冷やかしに行くつもりでした。
しかしノックをしても返事がありません。
そしてカギがかかっていないことに気が付きました。
開けてみるとその中には誰もいませんでした。
「おどかすつもりかな?」と、その時は心配もしませんでした。

また10分くらい経ちました。
「やっぱり変だ!」と誰かが気付き家中を探しました。
さほど広い家ではないので1階はすぐに探し終えました。
次に2階に行きました。
2つめの部屋を探しに行った直後に勇気は隣の部屋から出てきました。
みんなに「どこに行ってたんだよー」と責められましたが、勇気も
「みんなこそどこに居たんだよー」と反ベソでききました。
みんなは当然の様に、
「1階のリビングみたいなとこにずっと居たよ」と答えました。
それでも勇気は
「うそだー!オレがいくら助けを呼んでも助けに来てくれなかったじゃないかー!!」
と叫びました。
みんなはキョトンとした顔で話が掴めてない様な顔でした。
なぜかと言うと、みんなは助けを求める勇気の声なんて聞いてなかったのです。

勇気の話はこうでした。
オレがトイレに行った後2階から
「こっちにおいでよ」
という声が聞こえてきたから
「また幽霊の友達できるかな?」と行ってみたら待っていたのは
戦争で亡くなった同い年か、勇気より1〜2つくらい年上の男の子2人でした。
「遊ぼう!」と勇気が誘うとその男の子は
「鬼ごっこでもしょうか!?」と元気に答えました。
鬼ごっこが始まるとその家は異次元にでも入っているかのように広くなりました。
いや、実際に異次元に入っていたのかもしれませんが。
『開けても開けてもまたトビラ』みたいに部屋の隣に部屋が有り、それがいつまでもどこまでも続きました。
最初の鬼が追っかけて来ました。
勇気は無邪気に遊びました。
その時の顔は本物の鬼の様だったと勇気は言いました。
鬼というより焼死体の様だったとも言いました。多分本当に焼死体だったと思います。
もう1人の方にタッチするとその人も鬼になりました。
勇気は恐くなって叫びましたが、誰も助けに来ません。
逃げようとしても部屋が無限にあるので帰り道がわかりません。
ひたすら走ったけれど追い付かれました。その時から記憶がないそうです。

今でもその空家は空家のままです。



投稿者:根岸佳弘さん