合宿で、古い旅館に泊まりました。
その日は、記録に残りそうな熱帯夜で、どうしても眠ることが出来ませんでした。
夜中の1時か2時頃に、部屋の戸を…トントン…とたたく音がしました。
いっしょに起きていたH子が、「コ〜チかな?」と言いました。
周りを見ると他のみんなは、グ〜グ〜と、寝ています。
私は起きると、みんなを起さないように、静かに入口の戸を開けました。
……しかし戸の向こうには、誰もいません。
「おかしいな〜?」
と、思いつつも私は布団に戻ると、H子と布団をかぶって寝る事にしました。
H子と、ふたりで1つの布団を被っていると、いきなり戸が、ススス〜、と開きました。
布団の隙間から見ると白っぽい足が、チラリとみえます。
その足は中に入ってくると、入口のそばに寝ていたA子の布団の脇に立ちました。
「おまえじゃない…」
そう言いました。
H子と私は、その様子を唾を飲み込み見守っていました。
足はその後、手前に寝ているN美のところにいき、布団をめくり、いきなり腕をつかんで、
「おまえでもない・・・・・」
と言いました。
足は次に、隣に寝ている私たちの所へやってきました。
私たちは、咄嗟に狸寝入りをしました。
足はH子のところで立ち止まると、彼女に向かって、こう言いました。
「……おまえだ……」
それを聞いたH子は、
「たすけてー!!」
と大声で叫びました。
「うるさいぞ!」
と、その時。
彼女の声を聞きつけて、見回りの先生が、部屋に入ってきました。
見ると、先生が来ると共にその足は消えていました…。

後から聞いた話ですが、H子は普段から、こっくりさんなどで遊んでいた為、旅館にいる死霊に取り憑かれたのではないか?と言うことでした。



投稿者:にくまんさん