テルや旅館で、もし何かある時は、その部屋の絵画やベットの下を覗くと、必ずといってよいほどお札やお守りが貼られています。
その場所等にもよるかと思いますが、多くの場合、裏返してみるのも手かもしれません。
<実際、私がバイトした事のあるホテルでも貼っていたくらいですから>


これは、私があるビジネスホテルで体験した十代の頃の話です。
当時私は、都内の専門学校に通う学生でしたが、運転免許を取得する為、入学した年の夏休みは、故郷の教習所に通っていました。
順調に仮免まで進み、いざ本試験の段階になった時、私の住民票が都内に移転した為、急遽、学生寮に戻ったのです。
ところが、普段だったら誰かしらいる学生寮は時期的に(ちょうどお盆だったので)誰もおらず、閉鎖されていました。
申請するにも遅すぎて、とりあえず私は最寄のビジネスホテルに泊まり、翌朝の試験に備えることにしました。

夕食はよく知る食堂で済ませ、ホテルに戻ったのは確か8時頃だったように思います。
お風呂に入って、書店で買ってきた雑誌をめくりながら寛いでいると、隣の人も入室したようで、意味は解らないのですがガヤガヤと騒々しく廊下を通り過ぎていきました。
ふと気が付くと、枕元越しに中年男性の声がして目が覚めました。
時計を見ると12時を回っており、慌てて電気を消し、寝る体制に入ったのですが、また男性の声で起こされてしまい、とうとうする気もなかった教本を読む事にしたのです。
その時の私は
『うるさいなぁ・・・隣の酔っ払い』
くらいに思っていました。
翌朝、洗面を済ませていざチェックアウトしようと荷物を持ち上げた時、なにげなく壁にかかった絵がずれている事に気が付きました。
で、直してあげようと持ち上げた時、片隅に貼られたモノに気付きました。
―――そう、それは
『お札』でした。
で、部屋を出た時、私は思い出したのです。
私に用意された部屋は角部屋であり、奥に部屋がない事を。

余談ですが、その夜私が読みつづけた教本が試験内容にどんぴしゃり!
―――好成績で合格した事を追記しておきます(笑)



投稿者:寝子さん