![]() |
![]() |
横浜の鶴見区のとある場所でのことです。
当時私は何度か知人を車で家まで送る事がありました。その知人は山のような場所の上に建っているマンションに住んでいました。途中大きな石のある三叉路があり、その左側の道を登ってゆくのがいつもの送り道でした。 ある日、いつもの様知人を家まで送り届ける為、三叉路へ車が差し掛かった時でした。 …ドン! 車が、何かにぶつかったような感じを受けた為、私は車が三叉路のその大きな石にぶつかったのではと思い、慌てて車を降りました。 車の周りをぐるりと周り車の傷を確認しましたが、何処にも異常はありません。車の中の知人のこともあり、気のせいだと思いそのまま車に戻り知人宅まで向かいました。 無事に知人を降ろし、来た道引き返すことになりました。車はさっきの三叉路へ再び差し掛かりました。 「あれ?」 いつしか車は左側の、来た道とは違う道に曲がっていました。 当然家へ帰る道とは方向が違う上に、今まで走った事のない道を山に向かって走っていました。 私は慌てて車をUターンさせましたが、かなり走っていたのか、行けども行けどもあの三叉路へはでません。 時計は既に夜中の1時半を過ぎていました。辺りには街頭はなく車のライトと月明かりだけが辺りと車内を照らしていました。次第にムシムシとした湿気と、異臭が車の中に漂ってきます。 妙に思った私は車を止め、においの元を確かめようとしました。 道の脇に車を止めて、何気なくバックミラーを覗くと…、 「!!」 誰もいないはずの後部シートに中年の男女がじっと身動きもせず、私を睨みながら座っていたのです。 とたんに、体が動かなくなりました。 そして、私の隣のサイドシートには、少女が座り上目使いで私を睨んでいるのが目に入ったのです。 ぎゅぅぅぅぅぅぅぅっつ! 後部座席の男女が体を運転席に寄せるようにして、私の首を絞めつけてきました。 ぎゅぅぅぅぅぅぅぅっつ! 次第に息が苦しくなってゆく私は、状況が把握できないまま気が遠くなってゆきました。 「…ご、ごめんね、私には何もしてあげられない…私には何もしてあげられない…」 いつしか私は、そう呟いていました。 どの位の時間が過ぎたでしょうか…。
すぅーっと体が楽になったかと思うと、体の自由が戻ってみました。車内を見渡すと既にさっきの男女の姿は消えていました。 私は慌ててアクセルを踏み込むとその場から立ち去りました。車は程なくいつもの三叉路へでて、私は自分の家へと一目散に帰りました。 家に帰ると、私の首にはさっきの男女に絞められた手の痕痕がついていました。後日、私はこの出来事を友人に話しました。それを聞いた友人は私にひとつの事件を話してくれました。 それはずっと以前のこと、その道の先にあった家で、一家が殺害された事件があり、以来この道を通った人から「親子の幽霊が出る」と言われるようになったそうです。 彼等は、成仏できずに居るのでしょうか。 私は祈らずにはいられませんでした。 投稿者:avanzar さん |
|