今からお話しするのは約25年程前、私が物心付く前の頃の話です。
当時の私は当たり前ですが実家で暮らしてました。
その我家は父の話を信じるならば、明治の初期頃かそれ以前に建てられたような古い家です。
家は一階建ての平屋で、敷地面積も東京と思えば結構な広さでした。
何せ、4畳半、6畳X2間、8畳、台所、庭、それに離れ、と今思えばかなりの広さがありました。。
更に、母屋には神棚が4つ、仏様が一つ、離れには御不動様、 庭にはお稲荷様と、他に思い出せませないくらい、 霊的な物に関してもかなり豪華絢爛と言えました。
これは、亡くなった祖父がお寺のお坊さんをやっていたからと言えました…。
そんなこともあり、我家はある高名な霊能者の方(TVにでるようなインチ紛いな方ではありません)に、言わせると、「一種の結界が形成されている」とまで言われたほどでした。

私の小さい頃、まだ物心が付く前の話です。
これは後に母から聞いた話です。
ある真夜中のこと。母がトイレに立った時。
ぶつぶつ…ぶつぶつ…ぶつぶつ…。
私が寝ている部屋から なにやら声が聞こえてくるのに気づきました。
ぶつぶつ…ぶつぶつ…ぶつぶつ…
不審に思った母は、私が寝ている部屋を空けてみました。
そこには、部屋にある神棚の台座 (神棚と言っても床に設置してある一畳ほどの掛け軸などを掛けるスペースです。因みにそこには私の曾祖父の修験者時代の掛け軸が飾ってありました)に座る幼い私がいました。
ぶつぶつ…ぶつぶつ…ぶつぶつ…
私は、必死に何かぶつぶつと、唱えていました。
たったひとり、灯りひとつ無い、真っ暗な部屋の中で…。
「ねぇ、何やってるの?」
不気味に思いつつも、母は私に訪ねました。
「ぶつぶつ………あのね…、お経を上げてるの…」
さも、当然のように私は母にそう答えたそうです。

その時以来、私は色々な者が、見えたり感じたりする様になったそうです。



投稿者:忍さん