小学生だった頃の話です。
その日は、いつもより学校が早く終わったので、いつもと違う場所へ遊びに行こうと言う話になりました。
そこで私と友人のSは、普段行かない山の方へ遊びに行く事にしました。
いわゆる子供時代によくある「探検」というやつでした。

見知らぬ山道を2人で、あてもなく自転車をこぎながら走って行きました。
しばらく山を登っていくと、道の先に見たことのないトンネルがぽっかりと口を開けていました。
早速、私たちは自転車をこぎながらトンネルの入口へと近寄ってみました。
トンネルの中は灯りもなく真っ暗で、人気もなく、車が通る気配すらありません。
「おい、どうする?」
「入ってみるか………?」
そんなことを、お互いに聞きあっていましたが、やはり小学生のことです。
ぽっかりと口を開けたトンネルの奥は、無限に続くかのような暗闇が広がっています。
しかし2人には、この暗闇を中を進む為に頼りに出来るのは、自転車のライトしかありませんでした。
「とりあえず今日は帰ろう…」
結局、そう言う話になり、その日はトンネルに入らず、私たちは家路につきました。


次の日。
この日も「特別日課」で学校が早く終わったため、昨日入ることの出来なかった例のトンネルへと再挑戦する機会が巡ってきました。
私は、暗闇の中でも大丈夫なようにと、今度は懐中電灯を忘れぬよう持ち、もう一度、あの山のトンネルへ!と自転車に乗って家を飛び出しました。
昨日通った道を確認しながら、意気揚々と自転車を漕いで行きました。
さぁ、もうすぐ例のトンネルだと思った瞬間、
「…!?…」
私は自分の目を疑いました。

…………そこにあるはずのトンネルは、姿を消していました。

私の目の前には、ただ真っ直ぐ道が続いているだけでした…。
       ※       ※       ※
あれから7年経った今でも、その場所には怖くて近寄れません。
(まぁ、普段通ることは絶対ないんですが…)
でも、あの日あのままトンネルに入っていったら……。
高校生になったいまでも、思い出すたび背筋がゾッとなります。



投稿者:大滝悠太さん