1981年12月、私たち双子がフリーツアーで香港へ行った時の話です。
ホテルは香港島に面し、ゴージャスな夜景で有名なOージェントホテル。
…しかしこのホテル、一歩踏みこんだ時から…感じるんです。
まあ、ホテルに霊がいっぱいいるのは普通のことだから話題にならないでしょうが、あの時はちょっと嫌でした。
何が嫌かって…
枕元に女性の肖像画が飾ってあって、その絵が生きてるんです
普通ホテルの部屋の絵って風景画じゃないですか。
なぜ肖像画なのか…しかも憑いてる…。
そもそも人の姿をした絵にはかなりの確率で… 100年もたてばかならず憑くんです。
いい絵が人を魅くのと同じように、霊も魅きつけるんです。
…それはともかく、
その絵は見た瞬間からいやぁな感じでした。
私と同じく、霊感のある妹がこわがって霊をはじいてしまった為に、(*注 妹は霊を、見たり感じたりしないよう、『拒絶』する方に霊感をそそぐので、滅多に霊を見ることはないのですが、…この霊は…はっきりと見える程強かったのです)結果、面倒は全部私に降りかかり、着いたその夜から高熱にうなされる羽目になったのです…。
(ちなみに私は普段は低体温なため、かなり悪くても体温は上がらないのですが…)
妹が塩(清め塩)を結界として盛ってくれたのですが、翌朝、私の枕元の塩はきっちり真っ二つに割れていました。


…… パワフルな霊でした ……

そして、今頃妹がこんなこと言いだしたのです。

「夜中にのど乾いてふっと目を覚ましたら、Tちゃんのベッドの上に女の人がいたの。最初はTちゃんが起きあがってるのかな、と思ったんだけどすぐアレだってわかった!
髪の長い女の人でね。膝をついて、手をついて、つまり4つんばいで枕元のぞきこんでたの。
どうもその下に私が眠っていたらしいのです。(こりゃ熱も出る…)
「それであんた、どうしたの?。」
「見なかったことにしよう、と思ってそのまま寝た。」
「……。」
「あの女性、香港にいる間中、Tちゃんのすぐ側に立ってたよ。」
「……。」
でもそれは絵に憑いてる霊なので、私にくっついて日本に来るとかはありませんでしたが…。



  [番   外]
  後日、編者のひとりが彼女たちに
  「 100年たった絵には必ず憑くとすれば、美術館はどういう状態なの?」
  と電話で聞くと
  「聞くも愚か……。」
  と、一笑にふされてしまいました。人の形をしたものには入りやすいそうです。
  「私にはそうは、見えないけど。」
  「それは、見えない方が幸せでしょう。」
  「見えると驚く?」
  「私たちにはそれが当たり前だから何も感じませんよ。」
   「……。」
   …だそうです。