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| 「ぎやーぁぁぁぁぁぁぁぁっつ!」 ロサンジェルス空港の、男子トイレの中からから悲鳴が上がった。 と、同時に旅行仲間の I 君が、ズボンを下げたまま、泣きながら飛び出してきた。 仲間は、一斉に I君に駆け寄ると、何が起きたのか尋ねた。 × × × 話は、5分ほど前にさかのぼる。 空港での乗り換えのため、空港内を移動中の私たち一行は、ロビーに集まって護身について話をしていた。 ほとんどが、アメリカは初めて。ここは日本と比べて日常的に犯罪の多い国だという。 日本では、何でもない行動が命に関わる場合だってある。 飛行機の中から私たちは、びくびくしていた。 さらに、空港に着いたばかりで、仲間の一人が、宗教の勧誘に捕まってしまい、一悶着を起こしたばかりだった。 加えて、ベテラン添乗員が、私たちを厳しくたしなめたこともあって 全員無事に帰りたければ、 「単独での行動はしない」 との約束を、皆で決めていた最中であった。 「あのぅ、トイレにいきたいんですが……。」 I 君が話に割って入った。 全員が「むっ!」と、彼を睨み付けた。 先ほど勧誘に絡まれたのは彼だった。結果、全員がこうして話をしているのに話の腰を折ったのだ。 「あのぅ…」 彼は、トイレを指さした。 トイレは、私たちのいる場所からすぐの所にあった。 「しかたないな〜。独りだとトイレで強盗にあう場合もあるらしいから、誰か一緒に行ってくれる人はいませんか?」 半ばあきれながらも、旅慣れたリーダーK氏が、皆に声をかけた。 しかし皆は、つい15分ほど前の休憩の時にトイレは済ませていた。 彼はその際、トイレにも行かず勝手に別行動えおした上に、勧誘に捕まったのだ。 一緒に行こうなどと思う者はいなかった。 「あのぅ…ひとりで行って来ますから…。」 これには、「また面倒を起こされてはたまらない」と仲間の1人、M君が同行することとなった。 トイレにはいると、使用中の個室が1つだけでほかに誰もいなかった。 どうやら、強盗目的の危ない先客はいないようだ。 M君は、彼に早々に用を足すように告げると、入口付近の洗面台の所で彼を待っていた。 しかし、I 君は物珍しいのかトイレ内を見渡すなどして一向に用を足し始める気配はない。 暇なM君は、洗面台で自分の顔を眺めていた。 と、使用中の個室から人が出て来るのが鏡越しに見えた。 それは、1人ではなかった。黒人と白人の男性2人組だった。 彼らは、M君と I君のふたりを見ると「にやり」と笑い、ゆっくりと 彼らの方へやってきた。 しかし、 I君は緊急事態に気付くそぶりもなく、やっとこさ、用を足そうと小用便器に構える所だった。 「来る! 来る!! 来る!!!」 筋骨隆々の2m近い男2人が、自分たちを待ち受けてたようにやってくる。 勝敗は見えている。しかも、"拳銃"でももっていたら絶望的だ! M君パニックに陥った。 結果、彼は I 君をトイレに残すと一目散に逃げ出してしまった。 一方、何も知らない I 君は一通りトイレの中の観察を終え、本題の用足しに入っていた。 溜まりに溜まっていた小便が勢いよく出始め、その気持ちよさに恍惚となりかけたその瞬間だった。 「…………!!」 I 君は恐る恐る、首だけ振り返ってみると、 黒人の男が、後ろに立って彼を睨んでいた。 感触から、その男は彼の背中に"拳銃"を突きつけているらしい。しかし、勢いよく出始めた小便はすぐに止まるものではない。 彼は、今起きている恐怖と逃げることの出来ない状況に、直立不動となった。 すると、男はゆっくりと彼の両肩を鷲掴みにすると、グッと彼の肩に顔を近づけ、I 君の耳元に落ち着いた声でそっと囁いた。 「Hey Boy! …Are you OK?」 「………!」 そう言うと、男は背後から I 君に抱きつき体をホールドしようとする。 用足しの最中の I 君は必死の抵抗を試みたが、状況が状況である。あっさりと、男に体の自由を奪われてしまった。 相変わらず男は、彼の耳元でなにやら囁いている。 完全な絶体絶命だった…。 「にっ、逃げるにしても、"拳銃"だけは何とかしなきゃ!」 彼は必死に考えた。と、その瞬間、彼の頭に疑問が過ぎった。 男の両手は、彼の胸の前でしっかり重なり彼をホールドしている。 しかし肝心の"拳銃"は、何故か彼の背中に突きつけられたままだ。 「…………!!」 そう、突きつけられているのは「拳銃」では無く、「裸のガン」だったのだ! それから、後は彼の記憶はない。 とにかくその屈強な黒人をふりほどき、絶叫しながら飛び出してきたのだった。 × × × 「☆□×∴■♂○▽☆!」 彼は言葉にならない叫びをあげながら、ただひたすらに泣きじゃくっていた…。 後にわかった事だが、当時このトイレはゲイの相手を見つける 「出会いの場」として利用されていたらしい(そんなの公共の場はまずいだろ〜?)。 |
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