僕の通っていた高校は公立ですが、美術やデザインを専門とする学校で、歴史は 明治時代からの伝統のある学校でした。
僕のクラスの映像デザイン科(仮)は写真をはじめ、VTRやコンピュータなどの勉強を主にしていて、その関係かイロイロと怖い話には事欠きませんでした。今回はその中のVTRの編集室のお話です。

昔、実習である先輩達が”心霊スポット”の取材のマネごとをしたと言うことでした。
たぶん、今で言うと「ブレアウィッチィ・プロジェクト」を実行したような物でした。
彼等は、とある”でる”と言われているトンネルで撮影を行いました。
と、言っても興味本位で「偶然でも何かが写ればいい」程度の考えで、トンネルの前にビデオカメラを固定し、しばらくカメラをまわしただけで撮影を終了したそうです。

トンネルから戻って、早速独りの先輩が仲間の家で撮ってきたテープを再生しました。
すると撮影時には確認できなかった『影』みたいなものが画面に映っていました。
彼はすぐに仲間を呼び、誰かが来る度に巻き戻しては何度もビデオを再生して見せました。
5回目くらいの再生をしている時。始めにテープを再生した先輩は何か違和感を感じていました。
違和感の原因は何だろう?そう思いながら彼はビデオを注意深く見ました。

…『影』の形が変わっていました。
その『影』はだんだんと黒い 『物体』に変化していたのです。
その晩、テープは繰り返し再生されました。そしてその『物体』はそれにつれ次第に『人影』へと…。

『人影』は、いつしかそれは『少年』の後ろ姿であろうと確認できるまでに変化していました。
さすが全員恐くなり、その晩は同じ部屋に全員が泊まり、翌日揃って登校したそうです。

噂はすぐに広まりました。
そのテープを見たいと言う友人が現れ、彼等はしかたなくそのテープを友人に貸し出す事にしました。
テープ様々な人の手を転々と渡り、そのうちかららの耳にテープを観た人たちのうわさ話が聞こえてくるようになりました。
「あんなにハッキリ写っているのは初めてだなぁ」
「だんだんカメラに近付いてきてるよなぁ」
「あの振り向きそうで見えない(顔)ところが恐いよ」
「片目だけこっちを睨んでいるのが無気味だ」
と、言ったうわさ話でした。
しかし「画面の中の少年が完全にこちらに振り返った」と言う噂を聞かぬまま、やがてテープは、先輩達のところに戻ってきたそうです。
当然彼等は、二度とそのテープを再生する事もなく、編集室の何処かに封印してしまったそうです。そしてテープは、今もその編集室の何処かに存在していると聞きました。
興味はありますが、次に再生した時に『少年』の両目が睨んでいるかもしれないと思うと、探す気にもなりませんでした。

…あくまでも噂です。



投稿者:chikara さん