学校には、よく「七不思議」と言うものが伝承されていたりしますね。
小・中は、それなりの年数を経過している学校で「出る」という噂もあり、事実私自身も「飛ぶ首」を目撃したこともありましたが、打って変わって高校は、我々の代で5期生目の新設校だったので変な噂は影も形もありませんでした。
周りは田んぼと畑に包まれているようなのどかな環境でした。

高校3年生の時のことです。
当時、私は学園祭の委員をやっていました。
学校内での委員達の溜まり場は「E室」と呼ばれていたかなり大きな部屋で、鍵がかかっていても空け方さえ知っていれば、早朝でも夜中でもその気になりさえすれば自由に出入りが出来ていました。
ある日、それは起こりました。
文化祭の当日の夜に人と会う約束をしていた私は、着替えをその「E室」に置いてきてしまっていました。
そのことに気がついた私は、
「まぁ、帰り道でもあるし、学校に寄ってから帰るか。」
と思い、学校へと向かいました。
時刻は、10時半位だったように思います。
鍵を空けて教室に入り、1列だけ電灯をつけていました。
着替えを始めると、教室の外にある生垣の周りを誰かが「コツコツ」と歩く音が聞こえました。
(靴の踵にプレートを付けている人の様でした)
私はてっきり、見廻りにきた警備会社の人だろうと思い、一言挨拶をしようとドアを空けて外に出たのですが、誰も見当たらず足音も止んでいました。
よくよく見まわしてみると、警備会社の車も見当たらず、警備員さんはおろか、人っ子一人居ませんでした。
何かの聞き違いかと考えて中に戻り、着替えを鞄に詰めているとまたしても外から足音が....。
もう一回外に出て見まわしてみても、やはり、誰の姿も見えませんでした。
気味悪く思いましたが、そのまま家へと帰りました。
家へ帰った私は、前年にその教室で写真を撮っていた事を想いだし、写真の束をひっくり返してみました。


1枚だけありました。
窓から何か茶色っぽい顔のような物が、室内を覗きこんでいるのが。



投稿時談
この話を思い出して投稿しようと思った時に、偶然にも昔の写真を引っ張り出す機会があり、この「写真」を探したのですが、見つけられませんでした。



投稿者:夜香さん