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ずいぶん昔の話なので、私自身本当は何だったのか不明です。 あまり怖い話ではありませんが、水恐怖症の人にはちょっとおすすめしたくないものです。 それは、私が小学校低学年のころです。 夏休みに母の田舎へ兄弟と泊まりに行ったときです。 その家は隣に川が流れており、辺りの田へめぐる用水路の主流にもなっていました。 このころは、水かさもあまりなく、浅いところは子供が立ってもひざぐらい。 深いところは腰ぐらいか胸の辺りでしょうか。 伯母さんの付き添いつきで、私たちは遊んでいました。 浅いところで兄弟が『手押し車』のまねでふざけていました。 いつもは、深みに行くと兄に叱られるので、行かずにいたのですがこのときはとってもそこで泳ぎたかったので、伯母さんが兄弟に気を向けているすきにその深みへ行きました。 対岸は笹が生い茂り、川底にはきんぎょ藻がゆれています。 ただ少し濁っているのですが、ビニールの袋(農薬や肥料などが入っているような、なんかもありましたが、気にしませんでした。 私は泳ぎ出しました。プールではないのでちゃんと手足を動かさないと、当然流されます。 ちょっとばたつかせては立って前に戻り、を何回したでしょうか。 クロールのようにしていた手足を、犬かきのようにした頃ころです。 「 ! 」 突然右足を捕まれました。 驚きましたが、きっと兄のいたずらだと思いすぐ放してくれると思いました。 でもなかなか放してくれません。 そうしている間も、溺れまいとばちゃばちゃしてましたが、苦しいのに、顔を水面に出す事も出来なくなりました。 『死んじゃう!』 ......その瞬間「手」は離れ、私は立っていました。 顔の水を払いながら兄弟をさがしました。 もちろん抗議するため。 でもあいかわらず、弟とふざけています。 しかも少し離れたところですが足を放した瞬間にいられる場所ではありません。 「どうしたの○○ちゃん」 「誰か足つかんだー」 「河童だよ河童」 伯母が笑って言いました。 そのときは笑われて終わり、泳ぎ疲れた私たちは居間の隅で昼寝をしていました。 「‥‥、‥‥」 ふと、意識が戻りました。 どうやら母と、伯母が話をしているらしくぼそぼそ聞こえます。 「‥でさ、ちょうど今ごろだったよねぇ、Δ△がそこの川で溺れたのって」 「あぁ、そうだねぇ。ずいぶん下のほうで見つかったんだよねえ‥」 そこまで聞いてまた意識が眠りに入ります。 後日母に聞いたところ、あの川で溺れて亡くなった従兄弟がいたことがわかりました。 私の兄よりひとつ上だったそうです。 いまだにその感触は覚えています。 もう、二十数年前のことですが。 投稿者:レーヴェさん |
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