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これは今から1年前ぐらいの話です。 雨の降る会社からの帰り道。 私の住んでいる所は駅から徒歩15分ぐらいの所にあるのですが、寺町であることからお墓も多く、あえて遠回をしない限りはどこかでお墓の横を通るような町でした。 その日は雨で、じめっとしていて気持ちが悪かったので今日はお墓の横を通らないよう、遠回りをして帰ろうと決めていました。 やがて、お墓の横を通らないで済む遠回りの道と、お墓の横を通る近道との別れ道へとやってきました… ※ ※ ※ 傘にあたる雨音だけが、嫌に耳につきました。 「…!…」 気が付くと、私は何故かお墓の横を通る近道を歩いています。 あんなに、別れ道では、遠回りすると決めていたのに…。 「不味いなぁ…、呼ばれたかも…」 駅を降りたときに感じた気持ちの悪さが、次第に大きくなっていきます。 曲がり角からの記憶が薄く、何故今もこの道を進んでいるのか判らないまま、 私は、もう少しでお墓の横に差し掛かろうとしていました。 …トントン… 私の傘の中で、誰かが指で肩を叩きました。 「?」 しかし、振り返ってもそこには誰もいません。 「やっぱり…、これだけで済めばいいなぁ…」 と、思ったその瞬間! −ドサッツ!− 突然、私の背中に何かがおぶさってきました…。 生暖かい不気味な感触と重みが、私の頬に、両肩に伝わってきます。 私は慌てて傘から手を離し、両手で印を組みながらハヤクジを唱えながら先を目指しました。 「お、俺は助けられないから、あの角で消えてくれぇぇぇっーーー!!」 心の中で私は必死に叫びんでいました… やがて、私がお墓の角へとたどり着くと、そのおぶさっていた気配は、スーッと消えてゆきました。 そこからは一目散に走って帰りました。 今でも夜になるとその道は、なるべく通らないようにしてます。 あの感触といったらもう…… 投稿者:COZYさん |
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