これは、私の実体験ではなく中学時代からの友人が、高校の時に体験した話です。

当時、見た目もゴツかった彼を仮にOとしましょう。
Oの家は当時の我々の格好の溜まり場のひとつでした。
そんな風なので、中学時代からの我々はもとより高校で知り合った仲間も参加して、よく夜中まで遊んでいたり、泊まったりもしていました。

そんなOでしたが、見かけにそぐわず怖い話とかが物凄く嫌いで、一度荒川沿いにある、「A公園」の中の子供の幽霊が出ると噂されている場所に夜中に行った時は、本気で怒って帰ってしまうところでした。
(この時は私はいませんでしたが今でもよく話題になることです)
なぜなのか?
O本人に聞いてもその理由をハッキリとは言わなかったのですが、ある日それは起こりました。
そう、とても判りやすいかたちで。

  注:ここから以下は記憶する伝聞です。

その時、Oの高校の友人達だけで集まっていたそうです。
人数は3、4人。
Oの部屋は6畳間ぐらいの広さの部屋で、2間続きを襖で仕切ってあり、廊下との仕切りは中にすりガラスの入った障子。

夜中になって飲み物が足らなくなり、Oは階下まで取りに降りていきました。
Oが戻ってくると、部屋に居た友人たちがガタガタ震えていました。
「何だよ。どうかしたのかよ。」
とOが聞くと、
「Oが下に降りていった後に、誰かが柱をドンドン叩いてたんだよ。KがOがやってんだろうと言って、「ウルセェ」とか言ったらすぐに止んだんだけど、その後、階段から昇ってくる足音がしたからOだと思ったんだよ。だけど、足音は部屋の前まで来てるのに、ガラスに何も映んないんだよ。」
Oの家は「出る家」だったのでした。

Oの話によると、寝ていて金縛りになり、天上から顔の横に何かが落ちてきて、動かせる目だけで見てみると、それが武士の様に見える男の生首だったなんて事がよくあったとの事でした。
Oの家は、バブルの前期に付近の家共々地上げにかかり、結構な値段で売れて(本人談)郊外に一戸建ての家を建てて引っ越しました。
新しい家には何も起きないようです。
その後には、マンションが建設されました。

タイトルが何故「合掌」なのか。
そのマンションに何も知らないで入居される方々に対してです。



投稿者:夜香さん